2013年02月28日

<収録作品は『或日の大石内蔵助』、『黄粱夢』など> 芥川龍之介全集(2) [ 芥川龍之介 ](ショップ:楽天ブックス)



■目次
或日の大石内蔵助/片恋/女体/黄粱夢/英雄の器/戯作三昧/西郷隆盛/首が落ちた話/袈裟と盛遠/蜘蛛の糸/地獄変/開化の殺人/奉教人の死/るしへる/枯野抄/邪宗門/毛利先生/犬と笛/あの頃の自分の事/開化の良人


■青空文庫から『或日の大石内蔵助』を一部抜粋
 立てきった障子(しょうじ)にはうららかな日の光がさして、嵯峨(さが)たる老木の梅の影が、何間(なんげん)かの明(あかる)みを、右の端から左の端まで画の如く鮮(あざやか)に領している。元浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)家来、当時細川家(ほそかわけ)に御預り中の大石内蔵助良雄(おおいしくらのすけよしかつ)は、その障子を後(うしろ)にして、端然と膝を重ねたまま、さっきから書見に余念がない。書物は恐らく、細川家の家臣の一人が借してくれた三国誌の中の一冊であろう。


■青空文庫から『黄粱夢』を一部抜粋
 盧生(ろせい)は死ぬのだと思った。目の前が暗くなって、子や孫のすすり泣く声が、だんだん遠い所へ消えてしまう。そうして、眼に見えない分銅(ふんどう)が足の先へついてでもいるように、体が下へ下へと沈んで行く――と思うと、急にはっと何かに驚かされて、思わず眼を大きく開いた。
 すると枕もとには依然として、道士(どうし)の呂翁(ろおう)が坐っている。主人の炊(かし)いでいた黍(きび)も、未(いま)だに熟さないらしい。盧生は青磁の枕から頭をあげると、眼をこすりながら大きな欠伸(あくび)をした。邯鄲(かんたん)の秋の午後は、落葉(おちば)した木々の梢(こずえ)を照らす日の光があってもうすら寒い。


■『或日の大石内蔵助』、『黄粱夢』などの著作権が切れている作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)でも読むことができます。



タグ:芥川龍之介
posted by 62646 at 18:53| 小説 | 更新情報をチェックする
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