2013年03月06日

<『文章』などの作品が収録されています> 芥川龍之介全集(5) [ 芥川龍之介 ](ショップ:楽天ブックス)



■目次
仙人/庭/一夕話/六の宮の姫君/魚河岸/お富の貞操/おぎん/百合/三つの宝/雛/猿蟹合戦/二人小町/おしの/保吉の手帳から/白/子供の病気/お時儀/あばばばば/一塊の土/不思議な島/糸女覚え書/三右衛門の罪/伝吉の敵打ち/金将軍/第四の夫から/或恋愛小説/文章/寒さ/少年/文放古/桃太郎/十円札/大導寺信輔の半生/早春/馬の脚/春


■青空文庫から『文章』を一部抜粋
「堀川さん。弔辞(ちょうじ)を一つ作ってくれませんか? 土曜日に本多少佐の葬式がある、――その時に校長の読まれるのですが、……」
 藤田大佐は食堂を出しなにこう保吉(やすきち)へ話しかけた。堀川保吉はこの学校の生徒に英吉利(イギリス)語の訳読を教えている。が、授業の合(あ)い間(ま)には弔辞を作ったり、教科書を編(あ)んだり、御前(ごぜん)講演の添削(てんさく)をしたり、外国の新聞記事を翻訳(ほんやく)したり、――そう云うことも時々はやらなければならぬ。そう云うことをまた云いつけるのはいつもこの藤田大佐である。大佐はやっと四十くらいであろう。色の浅黒い、肉の落ちた、神経質らしい顔をしている。保吉は大佐よりも一足(ひとあし)あとに薄暗い廊下(ろうか)を歩みながら、思わず「おや」と云う声を出した。
「本多少佐は死なれたんですか?」
 大佐も「おや」と云うように保吉の顔をふり返った。保吉はきのうずる休みをしたため、本多少佐の頓死(とんし)を伝えた通告書を見ずにしまったのである。
「きのうの朝歿(な)くなられたです。脳溢血(のういっけつ)だと云うことですが、……じゃ金曜日までに作って来て下さい。ちょうどあさっての朝までにですね。」
「ええ、作ることは作りますが、……」


■『文章』などの著作権が切れている作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)でも読むことができます。



タグ:芥川龍之介
posted by 62646 at 02:33| 小説 | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。