2013年01月11日

芥川龍之介全集(第4巻) [ 芥川龍之介 ](ショップ:楽天ブックス)



■目次
邪宗門/袈裟と盛遠の情交/俳画展覧会を観て/一番気乗のする時/毛利先生/犬と笛/あの頃の自分の事/あの頃の自分の事(削除分)/樗牛の事/兄貴のやうな心持〔ほか〕


■青空文庫から『樗牛の事』を一部抜粋
       一

 中学の三年の時だった。三学期の試験をすませたあとで、休暇中読む本を買いつけの本屋から、何冊だか取りよせたことがある。夏目先生の虞美人草(ぐびじんそう)なども、その時その中に交っていたかと思う。が、中でもいちばん大部だったのは、樗牛全集の五冊だった。


■青空文庫から『俳画展覧会を観て』を一部抜粋
 俳画展覧会へ行つて見たら、先づ下村為山(しもむらゐざん)さんの半折(はんせつ)が、皆うまいので驚いた。が、実を云ふと、うまい以上に高いのでも驚いた。尤(もつと)もこれは為山(ゐざん)さんばかりぢやない。諸先生の俳画に対して、皆多少は驚いたのである。かう云ふと、諸先生の画(ゑ)を軽蔑(けいべつ)するやうに聞えるかも知れないが、決してさう云ふつもりぢやない。それより寧(むし)ろ、頭のどこかに俳画と云ふものと、値段の安いと云ふ事とを結びつけるものが、予(あらかじ)め存在したと云つた方が適当である。


■青空文庫から『犬と笛』を一部抜粋
    いく子さんに献ず

        一

 昔、大和(やまと)の国葛城山(かつらぎやま)の麓に、髪長彦(かみながひこ)という若い木樵(きこり)が住んでいました。これは顔かたちが女のようにやさしくって、その上(うえ)髪までも女のように長かったものですから、こういう名前をつけられていたのです。
 髪長彦(かみながひこ)は、大そう笛(ふえ)が上手でしたから、山へ木を伐(き)りに行く時でも、仕事の合い間合い間には、腰にさしている笛を出して、独りでその音(ね)を楽しんでいました。するとまた不思議なことには、どんな鳥獣(とりけもの)や草木(くさき)でも、笛の面白さはわかるのでしょう。髪長彦がそれを吹き出すと、草はなびき、木はそよぎ、鳥や獣はまわりへ来て、じっとしまいまで聞いていました。



■『樗牛の事』、『犬と笛』、『俳画展覧会を観て』などの著作権が切れている作品は青空文庫でも読むことができます。


タグ:芥川龍之介
posted by 62646 at 02:53| 小説 | 更新情報をチェックする
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